• Q1 国家公務員法第102条第1項にいう「政治的行為」の意義について判断した最高裁判所の二つの判決(最高裁判所平成24年12月7日第二小法廷判決,刑集66巻12号1337頁及び同1722頁)に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

  • ア) .「政治的行為」とは,公務員の政治的な行為一般ではなく,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが,観念的なものにとどまらず,現実的に起こり得るものとして実質的に認められるものを指す。
  • イ) 管理職的地位にある公務員が政党機関紙の配布といった殊更に一定の政治的傾向を顕著に示す行動に出た場合には,その指揮命令や指導監督を通じてその部下等の職務の遂行や組織の運営にもその傾向に沿った影響を及ぼすことになりかねず,「政治的行為」に該当する。
  • ウ) 公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが認められるか否かは,諸般の事情を総合して判断する必要があるが,公務員の政治的な行為が勤務外で行われた場合には,そのおそれは存在しないと考えられる。

  • 1) ア○ イ○ ウ○
  • 2) ア○ イ○ ウ×
  • 3) ア○ イ× ウ○
  • 4) ア○ イ× ウ×
  • 5) ア× イ○ ウ○
  • 6) ア× イ○ ウ×
  • 7) ア× イ× ウ○
  • 8) ア× イ× ウ×

  • Q2 次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものはどれか。

  • 1) 甲は,Xを眠らせてXが左腕に着けていた高級腕時計を外して持ち去ろうと考え,Xに多量の睡眠薬を飲ませたが,Xが眠らなかったため,Xの腕時計に触れることすらできなかった。甲には昏酔強盗未遂罪が成立する。
  • 2) 拘置所に勾留中の甲は,逃走しようと考え,収容されていた房の壁を削り取って穴を開けたが,その穴が脱出可能な程度の大きさになる前に発見されたため,逃走行為に及ばなかった。甲には加重逃走未遂罪が成立する。
  • 3) 甲は,Xから現金を脅し取ろうと考え,「殺されたくなければ100万円をよこせ。」などとXを恐喝する内容の手紙をポストに投かんし,その手紙はX方に配達されたが,手紙を見たXの妻は冗談であると思い,その内容をXに伝えなかった。甲には恐喝未遂罪が成立する。
  • 4) 甲は,X方の居間に置かれた金庫に多額の現金が入れてあることを知り,これを盗む目的で,X方の無施錠のドアから玄関に入ったが,Xにその場で発見されたため,逃走した。甲には窃盗未遂罪が成立する。
  • 5) 甲は,Xに対し,Xの孫を装って電話をかけ,「おじいちゃん。金がなくて困っているので,今から言う俺の口座に100万円を送金して。」と言って現金をだまし取ろうとしたが,その声が孫の声と違うことに気付いたXは,甲から指定された口座に送金しなかった。甲には詐欺 未遂罪が成立する。

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